2020年07月22日
症例46 腰の痛み、足裏の感覚異常で不安な女性
症例
こんにちは。藤森です。
今回は腰の痛み、足裏の感覚異常でお困りだった患者様の症例をご紹介いたします。
目次
患者様について
Y様、80代女性
主訴:右腰が痛い(水泳した後に)、足の裏が砂の上を歩いているような感覚になりフラフラする。
来院される少し前よりプールで泳いだあとに腰が痛くなるようになり、足の裏の感覚異常は20年ほど前にご主人が亡くなられてから気になりだしたとのこと。
西洋医学的見立て
腰痛は腰椎後屈時とじっと座っている時に痛みがでやすいとのことで腰椎での神経圧迫があると思われます。
問診をしていくとご主人が亡くなられてから不眠や不安の症状がでるようになり神経質になっていることから、交感神経の高ぶりが出ているかもしれないと推測。交感神経が高ぶると、身体の緊張状態が長くなり神経痛や痛みが増幅して感じることがあります。
このことから腰から足の痛みや足裏の感覚の異常は、腰椎での軽い神経への接触が交感神経の高ぶりにより過敏に反応して、症状がきつくでやすくなっているものと推測しました。
東洋医学的見立て
脈は左右で全く違う場合があります。この方は右がバンバン強い落ち着きのない脈、左は細く脈拍も速く忙しい脈をしていました。
舌は全体的に赤色が強く、舌先がより赤みが強い、舌の中央にひび割れがあるという状態。
顔は全体的に赤いという状態でした。
バンバン強い脈や舌や顔の赤みはからだ(主に上半身)が熱をもっていることを示します。これを東洋医学で心火(心臓が熱をもっている)といいます。
細く脈拍の速い脈や舌の中央のひび割れは身体の冷却システムの異常を示します。これを東洋医学で腎陰虚(冷却水の不足)といいます。
心臓は熱をもつと不安や不眠、神経過敏など交感神経の高ぶりで起きる症状がでるようになります。通常の場合はこれが起きないように心臓を冷却するシステムが働くのですが、現在の体質や年齢の問題から働きにくくなっているようでした。
腎陰虚になると冷却に必要な水が不足して身体の潤いが少なくなります。その影響を腰の骨と骨の間の椎間板や筋肉・靭帯などが潤いを失い硬く縮まり神経痛を誘発しやすくなります。
治療方針
腰の痛みや足裏の感覚異常は腰椎での神経圧迫と、交感神経が高ぶりにより痛みや感覚異常を感じやすくなっているというところを落ち着けるよう治療を進めます。
心臓の熱を冷まし、交感神経を落ち着けさせ、不安を軽減させる…手首のツボ
身体を潤し椎間板や筋肉を柔らかくさせ、心臓を冷却して落ち着かせる作用を助ける…内くるぶしの下のツボに鍼をしていきました。
経過
高齢の方は施術した時に症状が落ち着いても、持続させる力が衰えている場合が多いです。通常の施術頻度では改善まで時間がかかると判断した場合は当院では1カ月間通い放題でご来院頂けるプランがあります。(月・木・土限定)
今回はこのプランを利用して週2回で腰痛は3ヶ月ぐらいの改善を目途に、足の異常感覚は発症から20年以上と長期の既往から長くかかると判断して半年~1年ぐらいを目途に治療を行い改善具合で治療頻度を減らしていくという形で治療を始めて参りました。
1~2週目は治療時は腰痛がおさまりますが、1日経つと痛みが状況が続きました。足の感覚も変化なし。
お身体が良い状態を維持する力が無いことと、痛みを早く取ろうと余分にツボを使い身体に余計な負担をかけていたことからあまり持ちが良くなかったと判断し2週目以降は2つのツボのみで治療を進めました。
3~4週目、治療後腰痛は3日ぐらい楽だったり、痛みがある日とない日の波が出てくるようになりました。
5~6週目、たまに腰痛はあるが気にならない日が多いという状態になり、腰痛が気になりにくくなってきました。しかし今度は足の感覚や肩の痛みが気になるようになってきました。肩の症状は頸椎のテストから神経痛と判断しました。これは腰の症状軽減により目立つようになったもので、腰の痛みの発生要因とほぼ同じと判断したため治療方針は変えずにすすめてまいりました。
7~8週目、腰の症状は全く気にならなくなり、想定よりも早く足の症状も少し気になりにくくなってきました。肩の症状は1日しか持続しなかったり3日持続したり波がある状態。
9~10週目、肩の症状が気になりにくくなり、腰の調子もよい、足の感覚も少し気になりにくい状態になっている。
11~12週目、調子が維持できていて、足の症状もかなり落ち着いてきました。
13~14週目、経過が良好な為、5日に1回に間隔を空けて治療を行っていきました。それでも調子が維持できているためここで一旦治療を終了し、また症状が再発するようならご連絡いただくということになりました。その後はご連絡はありません。
腰痛は想定よりも1カ月早い2カ月で改善、足の異常感覚は半分の3ヶ月程度でかなり改善しました。
最初は不安で落ち着きがなくどこか忙しそうな雰囲気のY様でしたが、回復後は不安も口にされることもなく落ち着きを取り戻されている様子でした。
最後に「先生、だいぶようなったわ!ありがとう!」そう言って頂けたことが何よりの嬉しいお言葉でした。
Y様がこのまま体調を崩すことなく元気にお過ごし頂けることをお祈りしております。
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